鹿島臨海工業地域の概要
鹿島臨海工業地域は、茨城県南東部の鹿嶋市・神栖市を中心とする太平洋岸の重化学工業地域です。1960年代に「鹿島開発計画」として国策で建設され、砂浜の海岸に掘込港湾(鹿島港)を造って臨海工業地帯を一から作り上げた、日本の戦後工業開発を象徴する地域です。計画区域全体の面積は約3,260haに及び、関東地域の工業地帯では鹿島臨海は最大規模を誇っています[1]。
鉄鋼(日本製鉄:粗鋼能力約500万トン/年)・石油化学(住友化学・三菱ケミカル)・石油精製(鹿島石油/ENEOS系:180千BD)・電力(JERA鹿島火力発電所:440万kW)が一体的に立地し、京葉コンビナートと並ぶ関東圏の素材供給基地となっています[2]。また近年はLPガス国家備蓄基地(神栖:約20万トン)や洋上風力関連産業の集積も進んでいます。
基本データ
工業地帯面積
約3,260
ha(計画区域全体)
鹿島港貨物取扱量
約5,700
万トン/年(2022年度)
掘込港湾
鹿島港
日本最大の掘込式港湾(水深27m)
主要産業
鉄鋼・石化
+電力・LPG備蓄
産業構造
鹿島臨海工業地域は、鹿島港を核として以下の産業が一体的に立地しています。
| 産業分野 | 主要企業 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 鉄鋼 | 日本製鉄 鹿島製鉄所 | 高炉1基体制(2025年〜)。厚板・熱延コイル。5,370m³高炉は世界最大級[3] |
| 石油化学 | 住友化学・三菱ケミカル | 住友化学はエチレン装置を2024年に停止。三菱ケミカルはMMA等スペシャリティに注力 |
| 石油精製 | 鹿島石油(ENEOS系) | 製油所180,000BD。ナフサをコンビナートに供給 |
| 電力 | JERA 鹿島火力発電所 | 総出力440万kW。天然ガス・石油焚き |
| LPガス備蓄 | JOGMEC(神栖基地) | 国家LPガス備蓄基地。地上低温タンク約20万トン |
掘込港湾「鹿島港」
鹿島港は1969年に完成した日本最大の掘込港湾です[4]。天然の入江がない砂浜海岸を約7kmにわたり陸側に掘り込んで水域を確保しました。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 掘込水路長 | 約7km |
| 外港航路水深 | 27m(ケープサイズばら積み船対応) |
| 年間入港船舶数 | 約7,000隻 |
| 主要品目 | 鉄鉱石・石炭・石油・LNG |
歴史
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1960年代 | 鹿島開発計画が国策プロジェクトとして始動 |
| 1969 | 掘込港湾「鹿島港」完成 |
| 1970 | 日本製鉄(旧住友金属→新日鐵住金)鹿島製鉄所が操業開始 |
| 1973 | 第2高炉操業開始。粗鋼年産能力770万tに到達 |
| 2005 | 神栖LPガス国家備蓄基地完成 |
| 2024 | 住友化学がエチレン装置を停止、機能性化学品に集約 |
| 2025 | 日本製鉄が高炉1基体制へ移行 |
京葉工業地域との比較
鹿島は京葉コンビナートとともに関東圏の素材供給基地ですが、性格が異なります。
| 鹿島臨海工業地域 | 京葉工業地域 | |
|---|---|---|
| 成り立ち | 1960年代の国策開発(砂浜から造成) | 1950年代〜の埋立事業 |
| 港湾 | 掘込港湾(人工) | 天然港湾(東京湾) |
| 鉄鋼 | 日本製鉄(高炉1基) | JFE・日本製鉄(君津) |
| 石油化学 | 縮小傾向(エチレン停止) | 国内最大(エチレン210万t/年) |
| 消費地 | 首都圏北東部 | 首都圏全域 |
コンビナートの詳細
鹿島コンビナートの製鉄所・石化プラント・企業の個別詳細は鹿島コンビナートのページをご覧ください。
関連企業の時価総額マップ
鹿島臨海工業地帯環境対策協議会の会員企業のうち、主要な上場企業を時価総額で可視化しています[5]。
※ 面積は時価総額(概算)に比例しています。2023~2024年頃の株価をベースにした概算値であり最新の株価は反映していないので注意してください。
参考文献
参考文献・出典
- [1] 茨城県経済産業部「鹿島臨海工業地域の概要」https://www.pref.ibaraki.jp/
- [2] 国土交通省 関東地方整備局「鹿島港の概要」https://www.pa.ktr.mlit.go.jp/kashima/port/
- [3] 日本製鉄 統合報告書 2024(2024年)PDF
- [4] 不毛の大地を甦らせた鹿島港の開発 PDF
- [5] 鹿島臨海工業地帯環境対策協議会「会員名簿」https://kakankyo.jp/member-list/