日本の食品コンビナート

首都圏と関西圏の食を支える臨海型食品工業集積地

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京葉食品
千葉食品
神戸東部第4工区
泉佐野食品
Natural Earth を加工

食品コンビナートとは

味の素工場
味の素の工場。日本の食品コンビナートでは味の素・キッコーマン・日本製粉などが連携した臨海型食品工業集積地が形成され、原材料輸入から製品出荷まで効率的なサプライチェーンが構築されています。
画像: Akhmad Fauzi / Wikimedia Commons (CC BY 3.0)

食品コンビナートは、港湾に面した埋立地に製粉・製糖・製油・冷凍食品・菓子・飲料などの食品製造企業が集積し、原料の輸入から加工・出荷までを効率的に行う食品工業の集積地です。石油化学コンビナートと同様に、共有インフラ(蒸気・排水処理・電力・サイロ)の共同利用によりコスト削減を図っています。全国4か所の食品コンビナートでは合計約130社が操業し、日本国内の食品製造業従事者の約5〜6%を占める主要な食品生産基地となっています[1]

日本の食品コンビナートは主に1960〜70年代の高度経済成長期に、増大する都市部の食料需要に応えるために整備されました。千葉地域の2つのコンビナート(千葉食品・京葉食品)は首都圏の食料需要の約40%を供給し、西日本の神戸・大阪の2コンビナートは関西~九州地域の食料供給を担っています。

4か所(千葉2・兵庫1・大阪1)
食品コンビナート
千葉食品コンビナート(1964年・90ha)
日本最大・最古
神戸東部第4工区(1972年認定)
日本初の食品コンビナート

食品コンビナートの仕組み

輸入 穀物・原糖 海外産地から
荷揚げ 港湾サイロ ばら積み船
一次加工 製粉・精糖・製油
二次加工 パン・菓子・冷食
出荷 首都圏・関西圏

食品コンビナート一覧

千葉食品コンビナート[1]

項目内容
所在地千葉県千葉市美浜区新港
面積約90ha(国内最大)[1]
設立1964年(日本最大・最古の食品工業団地)[1]
入居企業29社[1]
年間処理能力小麦約150万トン、砂糖約80万トン、油脂約100万トン[1]
特徴千葉共同サイロ(253基・16.1万トン)で国内小麦消費の約20%を取り扱います。1日平均処理量は小麦5,000トン以上です[1]

主要入居企業: 日清製粉(国内製粉シェア約44%・最大手)・山崎製パン(製パン国内最大手)・ニチレイ(冷凍食品大手)・千葉製粉・不二製油・ミヨシ油脂・日本甜菜製糖・理研ビタミン[1]

京葉食品コンビナート[2]

項目内容
所在地千葉県船橋市高瀬町
面積約67ha[2]
設立1973年[2]
入居企業約31社[2]
年間出荷額約2,000億円規模[2]
特徴「首都圈のキッチン」です。菓子・飲料・惣菜など消費者向け食品が中心になります。首都圈への一日配送が可能な立地です。

主要入居企業: サッポロビール(サッポロHD・ビール類国内シェア約11〜12%)・森永乳業(乳業大手)・ニチレイフーズ(冷凍食品)・キーコーヒー・ドトールコーヒー・フジッコ・エスフーズ・文明堂・ユーハイム・メリーチョコレート[2]

神戸東部第4工区食品コンビナート[3]

項目内容
所在地兵庫県神戸市東灘区深江浜町
面積約56ha[3]
設立1972年(日本初の「食品コンビナート」認定)。神戸食品コンビナート協会が産業振興しています[3]
入居企業約10社(製粉・製油・製糖・調味料メーカー)[3]
特徴三井物産が主導して企業を誘致します。甲南ユーティリティが蒸気・電力を一括供給しています。関西~九州の消費地に最適な立地です。

主要入居企業: ニップン(製粉国内2位)・J-オイルミルズ(食用油大手)・DM三井製糖キユーピー(マヨネーズ国内シェア約60%)・東洋水産(マルちゃん:即席麺大手)・MCC食品・東洋ナッツ食品[3]

泉佐野食品コンビナート[4]

項目内容
所在地大阪府泉佐野市住吉町
面積約115ha(うち港湾44ha)。国内食品コンビナート中、面積最大です[4]
設立1967年(関西国際空港開港前から立地)[4]
入居企業55社(最多。多業種が集積しています)[4]
特徴関西国際空港に近接(距離約8km)しています。不二製油グループ本社の登記上本店所在地です。液体油脂・チョコレート・製粉が主要産業です[4]

主要入居企業: 不二製油(植物性油脂世界大手・本社所在・業務用チョコレート世界シェア約20%)・キユーピー泉佐野工場・東洋製罐大阪工場・鳥越製粉・関西製糖・日本ハム大阪工場[4]

4コンビナートの比較

千葉食品京葉食品神戸東部第4工区泉佐野
面積90ha67ha56ha115ha
設立1964年1973年1972年1967年
企業数29社31社約10社55社
性格一次加工(製粉・精糖)中心二次加工(菓子・飲料)中心一次加工+ユーティリティ共有油脂・水産・多業種
供給圏首都圏首都圏関西圏関西圏

関連企業の時価総額マップ

食品コンビナートに入居する主要上場企業の時価総額を可視化しています。

食品食品・飲料

※ 面積は時価総額(概算)に比例しています。2023~2024年頃の株価をベースにした概算値であり最新の株価は反映していないので注意してください。

企業 証券コード 事業概要 決算情報 配当履歴
■ 製粉・製糖
日清製粉グループ本社 国内製粉シェア約44%の最大手。千葉食品コンビナートに主力の製粉工場を保有し、年150万トン超の小麦処理能力を持つ。千葉共同サイロ(国内20%の小麦取扱量)の主要株主として、首都圏への食料供給の中核を担う。
ニップン(旧:日本製粉) 製粉国内2位のメーカー。神戸東部第4工区に神戸工場を保有し、関西~西日本への小麦製品供給の中核。冷凍食品「オーマイ」ブランドで消費者向け事業も展開。2021年4月に社名を日本製粉からニップンに変更し、グローバル展開を加速。
DM三井製糖HD 国内製糖大手。神戸東部第4工区に製糖工場を保有し、高さ30mの原糖倉庫が特徴的。海外産の原糖を精製し関西~九州地域への砂糖供給を担う。食品産業向けの各種砂糖製品で市場をリード。
■ 食用油・調味料
不二製油グループ本社 植物性油脂・業務用チョコレート・大豆たんぱくなどで世界的な地位を占める。泉佐野食品コンビナート内に本社・主力工場を保有。業務用チョコレートで世界シェア20%超を保有し、食品メーカー向けの原料供給で国際競争力を発揮。
キユーピー マヨネーズで国内シェア約60%を占める食品大手。神戸東部第4工区と泉佐野の両コンビナートに工場を保有し、関西~西日本市場を支配。ドレッシング・調味料でも業界トップシェア。グループで国内外20か国以上の生産拠点を保有。
■ 製パン・菓子
山崎製パン 製パン国内最大手。千葉食品コンビナート内に主力の生産拠点を保有し、首都圏の食卓を支えるパン・菓子の主要サプライヤー。チェーン店向けサンドイッチ、コンビニ向け菓子パンなど消費者ニーズに対応した多様な商品を生産。
■ 乳製品・冷凍食品
ニチレイ 冷凍食品・低温物流業界の大手。千葉食品・京葉食品の両コンビナートに拠点を保有し、首都圏への冷凍食品供給の中核。冷凍野菜、冷凍水産品、冷凍弁当で大きなシェアを占め、低温物流ネットワークで全国をカバー。
森永乳業 京葉食品コンビナート内に工場を保有する大手乳業メーカー。牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、飲料、アイスクリーム、栄養食品で幅広い品揃え。首都圏の消費者向けの主要サプライヤーとして市場をリード。
■ ビール・飲料・食品
サッポロホールディングス ビール・飲料業界の大手。サッポロビール千葉工場が京葉食品コンビナート内に立地し、ビアガーデンも併設。国内ビール市場でシェア約11~12%を占める。ビール、チューハイ、日本酒など多様な飲料製品で市場をカバー。
東洋水産 「マルちゃん」ブランドで即席麺市場でトップシェアを占める食品大手。神戸東部第4工区に工場を保有し、関西~西日本市場への主要サプライヤー。即席麺は北米でも高シェアを占め、グローバルブランドとして国際展開を推進。
大塚食品 「ボンカレー」「マッシモ」などレトルト食品で有名な食品メーカー。レトルトカレー・パスタソース・スープなど調理食品で高シェア。複数の食品コンビナートとの関連性があり、食品製造業の重要なサプライヤーとして位置付けられている。
明治ホールディングス 乳製品・菓子・医薬品・栄養補助食品の総合企業。グループで複数の食品コンビナートに生産拠点を展開。牛乳、ヨーグルト、チョコレート、サプリメント等で業界リーダーとして消費者向け市場を支配。グローバル展開も積極的に推進。
味の素 タンパク質・アミノ酸・調味料で世界的なリーダー企業。千葉・泉佐野など複数の食品コンビナートに生産拠点を保有。うま味調味料(MSG)、フルーティアシリーズなどで日本の食卓を支える。食品・医薬・農業分野での研究開発力で国際競争力を発揮。
日本水産 水産食品業界の大手メーカー。冷凍食品・練製品・缶詰で国内有数のシェアを占める。複数の食品コンビナートに生産拠点を保有。水産物の捕獲から加工・販売までの一貫体制で、国内食卓への水産物供給を支える。
マルハニチロ 冷凍食品・缶詰・水産食品の大手メーカー。日本水産と並ぶ業界リーダーとして全国の食品コンビナートへの主要サプライヤー。冷凍フライ、冷凍野菜、缶詰など多様な食品製品で消費者の食卓に根付いており、国内外でのシェア拡大を推進。
キッコーマン 醤油・調味料の世界大手メーカー。「キッコーマン」ブランドで日本国内はもちろん、米国、欧州など海外市場でも圧倒的なシェアを占める。複数の食品コンビナートと関連性があり、日本の食文化の国際化を牽引する企業。
カゴメ 野菜飲料・トマト製品の大手メーカー。「野菜生活」などのブランドで国内飲料市場で高いシェアを占める。加工食品での複数コンビナートとの関連性があり、健康・栄養を軸とした食品開発で消費者ニーズに対応。
セブン&アイ・ホールディングス 流通・小売業界の日本最大手。イトーヨーカドー、セブン-イレブンなどで食品コンビナート製品の主要流通チャネルを運営。食品製造から消費者への最後のマイルをカバーする流通網を保有し、食品コンビナート産業の重要パートナー。

参考文献・出典

  1. [1] 千葉食品コンビナート協議会「千葉食品コンビナートについて」https://www.chiba-syokuhin.org/pages/17/
  2. [2] 京葉食品コンビナート協議会「京葉食品コンビナートについて」https://www.kfc230307.org/about.html
  3. [3] 神戸新聞「食品コンビナートのいま」https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/fu-kei/202209/0015666145.shtml
  4. [4] 泉佐野市立図書館「泉佐野食品コンビナート」https://library.city.izumisano.lg.jp/izumisano/nandemo/si/syokuhinkonbi.html