基本データ
高炉数(日本製鉄)
1
基(2025年より1基体制へ集約)
粗鋼生産能力
約400〜500
万トン/年(2025年以降・1基体制)
鹿島港貨物取扱量
約5,700
万トン/年(2022年度)
工業地帯面積
約3,260
ha(計画区域全体)
鹿島開発計画 — 国策工業地帯の形成
鹿島臨海工業地帯は1960年代の「鹿島開発計画」として、当時の通商産業省(現・経済産業省)が主導した国策プロジェクトです。太平洋岸に面した砂丘・砂浜地帯(茨城県南東部)を大規模に造成し、鉄鋼・石油化学・電力の一体的な工業地帯を1960年代後半から建設しました[1]。
最大の課題は「港のない海岸」をどう活用するかでした。砂浜の海岸線に直接港を整備するため、**掘込港湾(掘込式港湾)**という手法が採用されました。陸地を直接掘り込んで船舶が入港できる水域を作り出すもので、鹿島港はその先駆的事例として国内外で注目されています。
鹿島港 — 日本最大の掘込港湾
鹿島港は1969年に完成した日本最大の掘込港湾です[2]。一般的な港湾が天然の入江や河口を活用するのに対し、鹿島港は海岸砂丘を約7kmにわたり陸側に掘り込んで水域を確保しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 掘込水路長 | 約7km |
| 外港航路水深 | 27m(大型鉱石船対応) |
| 取扱い貨物量 | 5,700万トン/年(2022年) |
| 主要品目 | 鉄鉱石・石炭・石油・LNG |
| 年間入港船舶数 | 約7,000隻 |
外港の航路水深27mは国内有数の水深で、**20万〜30万重量トン型の大型ばら積み船(ケープサイズ)**が直接入港可能です。これにより海外の鉄鉱石産地(ブラジル・オーストラリア等)から長距離輸送された鉱石を効率よく荷揚げできます。
日本製鉄 鹿島製鉄所
日本製鉄の鹿島製鉄所は1970年の操業開始以来、国内最大規模の一貫製鉄所のひとつです。2025年に高炉1基を休止し、現在は1基体制(粗鋼年産能力約400〜500万トン)で操業しています[3]。
生産設備の概要
| 設備 | 規模・仕様 |
|---|---|
| 高炉 | 1基稼働(第1高炉は2025年休止) |
| 第1高炉容積 | 5,370m³(世界最大級) |
| 転炉 | 4基(各250トン型) |
| 連続鋳造機 | スラブキャスター4基 |
| 厚板圧延機 | 5,500mm幅(世界最大級) |
| 熱延ストリップ | 1基 |
製品ポートフォリオ
鹿島製鉄所は主に以下の製品を生産しています:
- 厚板: 橋梁・造船・建築鉄骨・圧力容器・海洋構造物向け。5,500mm幅の圧延機は単一製品では世界最大級。
- 熱延コイル: 自動車・産業機械・建設機械向けの素材。
- 線材: ネジ・ボルト・ワイヤーロープ向け(隣接の棒線工場で生産)。
高炉の稼働推移[3]
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1970 | 第1高炉(容積4,052m³)操業開始 |
| 1973 | 第2高炉操業開始。設計能力770万t/年に到達 |
| 2002 | 第1高炉を大改修・拡大(容積5,370m³に増強) |
| 2011 | 東日本大震災で一時操業停止。約1.5か月で復旧 |
| 2023 | 日本製鉄全体で稼働高炉を集約(内需縮小への対応) |
| 2025 | 鹿島第1高炉を休止(バンキング)。1基体制へ移行 |
国内粗鋼需要は2007年の約1.2億トンをピークに2022年は約8,900万トンまで縮小しています。高炉数の削減は製鉄業界全体で進んでいる構造転換の一部です[4]。
石油化学・その他工業セクター
鹿島には鉄鋼以外にも化学・電力・物流の主要企業が立地しています。
| 会社 | 設備・規模 | 主な製品 |
|---|---|---|
| 住友化学 鹿島工場 | エチレン装置は2024年停止 | 農薬原体・半導体用高純度薬品 |
| 三菱ケミカル 鹿島事業所 | MMA製造装置 | MMA(メタクリル酸メチル)・スペシャリティ化学品 |
| 鹿島石油(ENEOS系) | 製油所 180,000BD | ガソリン・灯油・ナフサ |
| JERA 鹿島火力発電所 | 総出力440万kW | 電力(天然ガス・石油焚き) |
| 三菱商事・伊藤忠 | 輸出入物流拠点 | 鉄鉱石・石炭バルク輸送 |
主要上場企業データ
参考文献・出典
- [1] 不毛の大地を甦らせた鹿島港の開発 PDF
- [2] 鹿島港 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B9%BF%E5%B3%B6%E6%B8%AF
- [3] 日本製鉄 統合報告書 2024(2024年)PDF
- [4] 日本鉄鋼連盟「「粗鋼生産」9000万トン割れに下方修正…需要環境厳しい鋼材、中国勢の影響度」(2023年)https://newswitch.jp/p/38746